寒中お見舞い申し上げます。
2016年の新春を迎え、皆様におかれましては健やかに新年を迎えられたことと、心よりお喜び申し上げます。
新年のご挨拶ができずにおり大変失礼いたしました。この場をかりて、あらためてご挨拶申し上げます。
日本を探る一年
2015年は、海外とのご縁も広がるなかでより“日本”という国、そして、“日本の香り”という抽象的に今までとらえていたものをきちんと問い詰めていきたい“探求心”が気持ちがより強くなった年でした。
「お香は日本の香り」とイメージされている方も多く、こちらもそう言うのは簡単ですが、それは本当にそうなのであろうかと思うことがしばしばありました。昨年はヨーロッパから「日本の伝統的な香りを作ってほしい」というご依頼をいただいた時も、はて・・・どういう香りのイメージのことをおっしゃっているのだろうか・・・、そもそも・・・日本のお香は他国とは根本的にどう違うのか・・・。これは、ある意味で長年抱えていた疑問でもありました。
そうした中、昨年はありがたいことに、様々な職人の方々にもお会いしに日本の様々な場所に足を運ばせていただいたり、神社仏閣をはじめ日本庭園や茶室なども含め、九州、関西、北陸など日本の様々な土地から見える日本の姿も加わり、大いに知見を広げることができました。また、奈良県天川村~京都~東京の行き来があるなかで、香道をはじめ茶道、華道などの芸事のお稽古に励み、「日本の香りとは何たるぞや」「日本とは・・」という疑念の答えを探る日々でした。
しかし、そうした日常の中でふと、意外にも答えは日々の私たちの暮らしの中にすでにあるのではないかと少しずつではありますが答えがみえてきたように感じております。
大和魂が秘められているお香
それは、会社名変更のご案内時にも書かせていただきましたが、お香には「大和魂」が秘められているということにあらためて気づかされることばかりでした。
お香は仏教とともに伝来したため仏教の教えの要素が強いと思っていたのですが、1000年以上の月日をこえて今もなお私たちの暮らしの中に彩ってくれている根底には、やはり私たち日本人の精神に紐づいているからではないかと考えています。
そもそもお香は仏教とともに伝来しましたが、仏教そのものも、八百万の神々を祀る自然崇拝の国であったなかで、異国から流入してきた教えを結果的にに受け入れていった背景には、異端排斥するのではなく、神道と仏教が共存共栄していこうという「融和」、「和合」の精神があるから。
それは、世界に目をむけるととても珍しいことであり、特に西欧諸国では「統合」や支配していくなかで「結合」しようとするなか、この「和合」の精神というのは個々の魂を尊重しあい、それぞれの中に良いところををみいだし、結び合い、一つになるということであります。
お香の香りにはこの「和合」した世界そのものであると思うばかりで、日本では特に様々な原料を混ぜ合わせて香りを楽しむ「薫物」が発達した背景にもこの精神を感じます。
それは、日本では産出されない香りの原料となる白檀や、龍脳、桂皮、乳香などの異国の香りを混ぜ合わせていくから。
ツーンとするスパイシーなものもあれば、ウッディーな香り、はたまた、清涼感が強い香りなど、それぞれ一つ一つがとても個性の強い香りをはなつにもかかわらず、これらのとても特徴のある香原料をいくつもうまく和えながら、調和した美しい香りの世界を創りあげ、そして愛でていくとろに、日本人の精神を感じ取ります。
自然との共存、自然の恵みを感じえる和の世界
また、平安時代の貴族たちは自分たちで香を調合しており、その調合した香りは卓越した美しい感性からできたともいわれています。
このような日本人が培ってきた感性であり美意識は、まさに日本人が自然と共存し、自然の摂理にならい、自然を心で感じ、心で表現してきた「和」の精神が根底にあるからだと思っています。
この自然こそ、日本人の精神のルーツでもあり、自然への愛着と畏敬、荘厳な自然そのものに神を見出してきました。
しかしながら、神というと何か宗教じみたイメージをとられる方もいらっしゃるかと思いますが、ついこの間私たちは門松を飾り、鏡餅をお供えし、鏡割りをしたりと、日本の暮らしにはやはり「神」と暮らしているのだと気づいているのではないでしょうか。そもそも・・・私たちが靴を脱いで家にあがるのも、家が神聖な空間だととらえているからです。
そう考えると、必然的に神聖な空間である家の入口になる玄関に清める効果がある香を焚くことは必然なことでもあったり、家族が一緒に食事をし、くつろぎ、眠るといった住む人の英気を養い、家族を結びつける場でもある家の中で、香を焚き心地よい空間へと彩ってきたのも当たり前のことだったのかもしれません。
神と人をつなぎ、そして、日本文化の凝縮
総じて、香が携えている精神性には「大和魂」が秘められており、日本において神とは「自然そのもの」であるがゆえ、香には神と人をつなぐ役割があり、この精神が脈々と受け継がれているのではないかと思っております。
また、神仏に捧げ、祈りの歴史から、王朝の雅な文化と教養、また「わび」「わび」の世界、粋の美意識など、日本のお香には日本文化のあらゆる美的な局面が凝縮しているといっても過言ではないのでしょう。
2016年は「和」の精神の徹底と世界へ
長々となりましたが、昨年は会社名も「和彌(あみ)」と変更し、自国への探求に力をあててきたなかでようやく追い求めていた世界へ足を一歩踏み入れることができました。
そのため古の日本人が大切にしていた「和」の精神を、私どももきちんと再起し、原点に立ち返り、お客様にも「和」の世界へと誘えるよう努めてまいりたいと思っております。
その第一弾として年始早々長期の休業をいただいてしまいましたが、Juttoku.店舗を改装いたしました。
従来はレジスペースであったところをすべて開放して、小さな和室の空間にしました。4畳もない小さな空間ではありますが、ここでわざわざ当店にまで足を運んでいただいてることもあり、くつろいでいただきたいと思っておりまし、正座を強いてしまいますが、この場所でワークショップも開催してまいりたいと思っております。
また、新たに「お香カウンター」を作りました。お客様の心が香りで満足していただけるように、ここではよりお客様の心に寄り添う香りをご提案させていただきたいと思っております。
「和」の精神を世界にお伝えする場として・・・
そして、正式なご案内は近日させていただきますが、今春に表参道に新たにお店を出店することなりました。こちらは、新たにできる商業施設内にJuttoku.も出店するはこびになり、3坪ほどの小さなお店ではありますが、場所柄もありここでは海外の方にもお伝えしていける場にしていきたいと思っております。
ただ、こうして海外へお伝えしていくにも、常日頃からご愛好いただいているお客様のお声があるお陰であり、そこから日々学ばさせていただいております。本当にありがとうございます。
「和」の社会へと貢献
長々としたした文章となってしまいましたが、あらためまして、こうして新年を迎えることができるのも、これもひとえにJuttoku.を愛用いただいているお客様をはじめ、支えてくださる社員、関係各位、そして、職人の方々のお陰と深く感謝しております。
また、昨年ご案内させていただきますが、お客様皆さまからいただくお代の一部を日本の森林保護のために寄付し、豊かな日本の自然を保護していく活動も新たな動きが加わり、少しずつではありますが始まっております。(こちらも、あらためてきちんとご案内いたします。)
2016年は「和」の精神に立ち返り、香が誘う安らぎの時間、美しい和のくらしをお届けし、一人でも多くの方に『あぁ幸せ』と日々の暮らしの中で感じてもらえるよう、社員一同社業につとめ、そして、「和」の精神がつまったお香をつうじて平和な世の中へ、世界平和へと貢献し、これからの明るい未来につないでいけるよう引き続き一層の努力をしてまいります。
引き続き、皆さまの厚いご支援とご指導を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
2016年1月15日
Juttoku.
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