Juttoku.便り
心に深い安らぎを与えてくれる「美しいカオリ」を、自然と調和する「美しいくらし」に、をコンセプトにもつJuttoku.。
四 季の美しい日本にいながら、自然と調和する暮らしのなかで、日々様々な出逢いや学びに恵まれます。それは、自然の時間の中に自分を置くことで感じること や、自然をつうじて学ぶ日本の美意識、そして旅先などで見聞することなど。本コラムでは、Juttoku.の折々の暮らしをお届けします。
心の静養のひととき
奈良県天川村にきています。ここ、奈良県天川村は紀伊半島中部に位置しており、標高1,000〜2,000mの大峰山系の山々に囲まれ、441m~820mの標高が谷間の集落部はあります。そのため、今回もある程度厚着で着込んできたものの、寒さが身に染みいります。
でも、村の人たちに伺うと冬の天川村の魅力は「この寒さ」だと仰っていました。
空気がより澄んでとても気持ちがいい!と。そして、澄んだ夜空に浮かび上がる
星空もこれもまた格別・・・。
喧騒とした都会から離れて、ここにいると身も心も解き放たれ贅沢な静養のひとときです。
自然の変化、自然の動き
天川村に来ると時間を見つけては、ハーブ畑のお手伝いをさせていただいています。
写真ではきちんと撮ることができなかったのですが、この日は朝霜がみれました。村の人達同士の朝の挨拶には「今朝は霜が降ったなぁ~」というやり取りが聞こえ、こうして互いに自然の変化に感じあえるのはなんとも羨ましくも感じます。
奇しくも、先日は暦のうえで『霜降(そうこう)』にはいり、 昨日は七十二候では霜が降り始める頃という『霜始降(しもはじめてふる)』。 自然の変化に同調している、いや、むしろこれが自然の変化であるということを学べた瞬間でした。
冬はつとめて。
雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、
またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、
炭持て渡るも、いとつきづきし。
これは、紫式部がかいた「枕草子」のなかの一節。冬の朝は、寒さに根負けしそうでなかなか朝早く起きるのも辛いときがありますが、紫式部がうたうように早朝を楽しむ心もちになりたいものですね。
採れたての新鮮な香り
寒さが厳しくなりつつも・・・こうしてローズマリーも青々と元気に葉をのばしています。
葉からフレッシュないい香り・・・!!
オレンジミントも、葉はこの寒さなのにみずみずしく、温かみも感じる爽やかな香りをはなっています。
厳しい寒さにもまけず、こうして生き生きと生い茂っているハーブから強い生命力を感じます。
自然の知恵のあれこれ
これはいったいなんだと思いますか?
正解は、檜の木くず、オガクズです。
檜には防虫効果、殺菌作用があるため、土の上にひくことで、虫の繁殖もおさえますし、雑草が生えるのを防ぎます。
オガクズをまくエリアは、主に畑の通路になる部分のみ。こうして毎年秋のこの時期にあらかじめ檜のオガクズをまいておくと、冬をこしたときには自然と土の中にもどっていきます。
一方で、ハーブの根の部分には干した藁をしきます。
これはこれからの冬の寒さを乗り越えるため。藁をしくことにより、土の保温効果があり、また雪からもハーブを守ります。
自然にあるものを活かす。先人の知恵。自然には無駄なものはありませんね。
小一時間の雑草とりの作業でしたが、これだけの雑草がとれました。
こんなに小さな芽でも、根はものすごく深くて長い・・!雑草の生命力、力強さに感服しつつ・・・、雑草を抜き終わった後の爽快感はなんともいえぬほどの清々しい気分になります。
自然の大地のエネルギーをもらう
畑作業のあとは、お楽しみのとれたてのハーブを美味しいお水を沸騰させたお湯を注いでいただきます。
このハーブティーがどれほど美味しいことか・・・・。
この大地で育ったハーブを天川のおいしいお水でいただくのですから味はいうまでもなく、格別に美味しいです。 苦味は全くなく、爽やかな香りがひきたちながらも、味は甘みと爽やかさのハーモニーが口の中でひろがり、胃のなかにすぅ~とはいり体の芯から温まります。
飲んだ後はしばしの間、外の景色を見ながらボーッとしたくなります。五感で楽しむハーブをいただくこの時間は、至福のひととき。
四季おりおりの中、厳しい寒さや暑さを乗り越えてはつらつと生きているハーブからは、自然の大地の力強いエネルギーを感じます。
そして、無農薬で自然に生育しているハーブから放つ爽やかな香りは心に感動を与えてくれます。
数年前にいろいろと精神的に辛いときが続いたとき、淡路島の職人の方からも職人が手塩に育てているハーブをいくつもいただいたことを思い出します。その香りでどれだけ救われたことか・・。とれたての新鮮の香りを体感できるハーブ。お香の雅な香りとはまた違う側面をもつ香りで癒されます。