Juttoku.便り
心に深い安らぎを与えてくれる「美しいカオリ」を、自然と調和する「美しいくらし」に、をコンセプトにもつJuttoku.。
四季の美しい日本にいながら、自然と調和する暮らしのなかで、日々様々な出逢いや学びに恵まれます。それは、自然の時間の中に自分を置くことで感じることや、自然をつうじて学ぶ日本の美意識、そして旅先などで見聞することなど。本コラムでは、Juttoku.の折々の暮らしをお届けします。
清めの水を浴び神輿を担ぐ
夏休みは皆さまいかが過ごされましたでしょうか。Juttoku.も夏季休暇をいただき、スタッフそれぞれの思い思いの夏のひと時を過ごしました。
夏の様々な思い出の中で、今年もまた御神輿を担いできました。「水かけ祭り」とまで言われるほど水をたくさん放水されるなかで担いでいく神輿は、日本の祭りのなかでもここだけなのではないでしょうか。今回は写真も撮ってきたのでご紹介させていただきながら、写真をつうじて少しでも涼を感じていただければうれしいです。
江戸三大祭りの一つとして知られる「深川八幡祭り」
赤坂の日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭とともに「江戸三大祭」の一つとして知られる富岡八幡宮の「深川八幡祭り」。
今年は3年に一度の本祭りとなり、53基の大神輿が約8キロものコースを練り歩きました。
富岡八幡宮
富岡八幡宮は、門前仲町駅から徒歩5~8分ぐらいに鎮座されており、長盛法印(ちょうせいほういん)という僧侶が、ここに八幡を祀るようにという霊夢を見て寛永4年(1627年)に創建された神社です。
御祭神は、応神天皇(誉田別命)、 外8柱が祀られています。
『神輿深川、山車神田、だだっ広いが山王様』
1642年に徳川家綱の世嗣(よつぎ)祝賀を行ったのが始まりといわれるこの深川祭り。江戸っ子たちに『神輿深川、山車神田、だだっ広いが山王様』と謳われるほどその神輿ぶりが有名だったそうです。
3年に一度の本祭りでは、53基もの神輿が約8キロにもおよぶ神社の氏子となっている地域内を渡御し、そして沿道からは清め水を勢いよく浴びさせられる夏の暑さをも吹き飛ばす風情のある祭りです。
江戸っ子の地が騒ぐ?!
両親の祖父母、曾祖父母と東京の下町育ち。特に父方の祖母が生粋の江戸っ子のような気質で、このような祭りや季節の風物を率先してたしなんでいたのでその姿が懐かしく。今は亡き祖母ですが、こういう祭りがると祖父母の姿が目に浮かび私も血が騒ぎます。
本神輿への参加は今回が二回目。朝は4時に起き、5時には現地集合。法被(はっぴ)、半股引(はんだこ)等の神輿の恰好をまとい準備万端。
7時半から、いよいよ最初の神輿がスタート!
私が参加させてもらった町内会の神輿も頭の掛け声と共に、一斉に担ぎます。この町内会の担ぎ手だけでも200人。交代交代で担ぎますが、もっと大きな神輿になると300人をも超えるとか。
今年は積極的に神輿を担ぐぞと気合をいれていたので、最初から神輿の前方のほうで肩をいれました。
肩には大勢の人が担いでいるにも関わらず、私の肩には10キロにも20キロにも感じる重さがどしりと。肩にタオルをおいていても、上下に動く振動もあり肩はだんだんと痛みも感じますが、その痛みさえも忘れてしまうほどの熱狂ぶり。
全長約8キロにもわたるコースは、隅田川を見渡しながらの永代橋や
永代通りなど都内の大通りを練り歩けるのもなんとも醍醐味です。
大量の水を浴びに浴びて
そして何よりも一番の醍醐味は、別名「水かけ祭り」と称されるほどの沿道からの大量の清め水。
暑い夏の日の中での水浴びなので、寒い!というよりは「気持ちい!」という爽快感のほうが強いです。
バケツ水で勢いよく水をかけられたり、
消防団による放水の水を思いっきり浴びたり。
大量の水を全身で浴び全身ずぶぬれになりながら全長やく8キロ、約6時間も神輿をかつぎ練り歩くのはなんともいえない醍醐味です。
神霊の威光をさらに高める
そもそも、深川祭りもそうですが例大祭は、神殿の奥深く鎮座している神霊が外に出てきていただき、神輿にのって氏子の幸いを祈り、災いを除いていただけます。
Juttoku.店舗の氏神様である赤城神社の大祭の記事にも書きましたが、お神輿はただ担いで練り歩くだけではなく、御霊の威光をさらに高めるためなどを行います。
神霊を高く差し上げる
その一つが、「差す」です。 宮入のときや、表敬すべき場所のところで、「差せ~!」という号令とともに、担ぎ手全員でお神輿を上に大きくあげます。これは、神霊を高く差し上げる、という意味があります。
大神輿なので、大きな神輿になると1トンもあるといわれるのでかなりの腕力と何よりもチームワークが必要です。
神霊の威光を高める
もう一つは、神輿揉み。 「揉め~!」という号令とともに、大きく神輿を左右に揺らします。これは、神霊の威光を高めるためのものです。
大きく揺らせば揺らすほど、上にのっている鳳凰の羽もまるで大きく羽ばたいているかのように見えます。
ワッショイの意味
私が参加させていただいた町内会の神輿では女性陣による“ワッショイ隊”というのが途中で組まれ、ワッショイワッショイと盛り上げます。
終始ずっとワッショイワッショイと叫んでいたので後半になると喉もつぶれてしまいましたが、ワッショイワッショイというと神輿をかついでいるときも不思議と肩・腰にも力がはいりますし、神輿を担ぐ仲間同士心が一つになるような感じもあります。
ワッショイの語源は明治期の「東京風俗志」という書物に書かれているといわれています。ワッショイとは「和を背負う」、和をもって平和を担ぐという意味だそうです。また、「和一処」、皆がひとつになって、力を合わせる。 ひとつの目的を達成するということという意味も。
また、別の説で印象に残っているのは日本とユダヤには共通する部分がいくつかあるとのことでその中でヘブライ語と日本語で類似しているとも。
(例えば)
カク=書く/スム=住む/ハラー=祓う/ハケシュ=拍手 など
その中で、実はヘブライ語にも「ワッショイ」とう言葉がありその意味は「神が来た」という意味であるとか。
この説については古代史の極地になるので真偽はおいといて、「ワッショイ」という掛け声にも意味があるのだということにやや感極まる思いがありました。
和を背負い、未来へと
3年に一度の深川祭りの大祭。
8キロを無事に練り終えた後は、足腰がカチコチにかたまり疲労困憊。しかし、なんとも言えない達成感です。
次の「深川祭り」の大祭は3年後。
3年後。つまり、東京オリンピックが開催される年です。大人になると3年の月日は時としてあっという間に感じますが、まだまだ先なようですぐ先ある未来。
「ワッショイ」の語源にもある「和を背負う」という言葉にとても深い意味を感じている今、3年後もまた平和に皆一同となり和を背負うことができるようにと願うばかりです。
富岡八幡宮
住所: 〒135-0047 東京都江東区富岡1丁目20−3
URL:http://www.tomiokahachimangu.or.jp/