節分に臭いで魔除け

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四季の美しい日本にいながら、自然と調和する暮らしのなかで、日々様々な出逢いや学びに恵まれます。それは、自然の時間の中に自分を置くことで感じることや、自然をつうじて学ぶ日本の美意識、そして旅先などで見聞することなど。本コラムでは、Juttoku.の折々の暮らしをお届けします。

 

節分に魔除け

今日は節分。

節分=2月3日という印象が定着してしまいましたが、本来は「立春」「立夏」「立秋」「立冬」などの季節の改まる前日を指していました。つまり、2月3日にかぎらず節の分け目を称していましたが、現在の暦になる以前は立春を一年の初めとする「立春正月」という考え方で正月の行事が行われていため、暦が変わった現在でも、節分は大切な行事とされています。

 

鬼は外、福は内

節分に豆をまく風習は今の時代でも続いていますが、この豆をまくというのも、外打ち豆は疫病や災害を鬼と見立てて豆を打ち、鬼を追い払い、新しい年を清らかな空間に迎え入れる準備をする習慣であるといわれています。

 

豆を使って鬼を追い払う理由には鬼の目を打つ「魔目」や「魔滅」が由来となっている説や、日本では古くから穀霊信仰がありこの霊力鬼を払ったという説があります。

 

時代をさかのぼると、平安時代の節分には「方違え(かたたがえ)」によって厄払いが行われていたそうです。源氏物語のなかでもよく「方違え」がでてきますが、大きく移動することも要されるもので、だんだん次第に部屋を移るだけに簡略化されていき、室町時代からか、部屋の魔除けが必要となり豆まきが行われるようになったいわれています。

 

 

豆だけでなく臭いで厄払い

節分では豆まきだけでなく柊と鰯の頭を戸口に飾る風習がありますが、これも厄払いの一つ。

 

これは豆を炒る火燻臭の強い柊鰯の頭を焼き、戸口に挿して邪鬼がはいらないようにする風習でありました。

 

乾燥されている大豆からは匂いというのはあまり感じないですが、生豆の状態だと青臭さが強く、大豆を炒って加熱することで生豆と同じような青臭さが際立つとのこと。

 

つまり、青臭いと燻臭の強いと生臭さと青臭さが合まじるという“強い臭い”で邪鬼を祓っていたということになります。私たちも臭いところは遠ざけたくなるのと同じように邪鬼も近寄りたくないものなのでしょうか。邪鬼を擬人化してとらえると面白いかぎりです。

 

魔除けの呪祝の具

平安時代の古典文学や日記などの書物を読んでいると「物の怪」など目に見えない悪霊などに怯え怖れ、そして退治することを描写されているものがよくあり、読んでいて大変興味深く、陰陽師の出現なども必然の流れだったのかもしれません。

 

当時の時代背景もあるのか仏典に限らず古典文学などにも、辟邪(邪鬼・邪気を避ける)呪具について記されているものも多く、その一つとして初めに「とくに芳香を有する香木、薬木」があげられています。

 

梅雨のころに邪気を祓うものとして香りの強い菖蒲の葉が軒に飾られるのも、まさに香りによって邪気を祓うというもの。香り・臭いが祓いの役目をなすというのは日本に限らず、西欧ではニンニクが悪魔除けとして用いられてきたなど世界に共通していますが、日本では今でもこうして風習として紡がれているところに日本の香の趣を感じます。

 

 

清らかな空間で新しい年を

いずれにしても、立春をつうじていよいよ本格的に新しい年が始まります。
邪鬼・邪気というのもとらえ方は様々ですが、目に見える部屋の埃や汚れではなく、目に見えない空間の淀みや心の汚れなどなども。

それらを祓い切り、清々しい新しい気が舞い込み、気持ちよく新しい年が迎えられますように。

 

もうそろそろ待ちに待った春の訪れがすぐそこに・・・!
よい週末をお過ごしください。

 

 

 

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