“空海”にまなぶ ~水無月の満月の夜に~

花鳥風月~美しい自然の移り変わり~
豊かな地球の恵みを敏感に感じ、絶妙な香りの配合を表現してきた先人たちの繊細な感性により培われてきた日本の香文化。それは、自然との共生を大切にし、様々なものを調和させ、新しいものを生み出す日本人の美意識そのもの。そんな日本人の美意識をはぐくむ「日本の美しい自然の移り変わり」を、本コラムでお届けします。

 

緊急事態宣言が解除されたものの、どことなくまだ緊張状態が続き、新しい生活のあり方までうまれつつあります。今まで『当たり前』にできていた事等にも制限がかけられたり変化が起きている中、私たちが“ありふれた日常”と思っていたことが、こう有事があると殊更、ありがたい日々だったのだと思う今日この頃。

Juttoku.の『当たり前の行動』の一つは、毎月のように東京と奈良の天川村を行き来していたこと。今年はコロナの影響を鑑みて、行っておりませんが、村の人たちから送られてくる写真や村の様子などを聞きながら、今までの写真を見返したりと勝手に妄想旅も楽むのも慣れてきました。

 

さて、話は前後しますが、今回のコロナ禍においても毎日のように『三蜜という言葉を見聞きされ、私たちもそれを避けるように意識することが多くなっていると思います。

しかし、何かこの言葉は違うところで耳にしているなと思い、いろいろと読み返していたところ『空海』にいきつき、とてもスッキリしたのを覚えています。

 

コロナ禍で標榜とされている「三蜜」は“密閉、密集、密接を避けるようにとありますが、一方で、空海が説く密教において『三蜜』というのは、仏の身・口・意は人間の理解の及ばない秘密あるとして、大日如来に帰依するために三蜜を修行するといわれ、身密(しんみつ)・口蜜(くみつ)・意蜜(いみつ)の三蜜行が重要でると説いております。

 

そもそも、身は身体の行為、口は言語表現、意は心のはたらきの三業(三つの行為)を意味しし、
身密(しんみつ)とは、手に印を結び座禅瞑想する修行のこと
口蜜(くみつ)とは、口で真言(マントラ)という特殊な呪文を唱え続ける修行のこと
意蜜(いみつ)とは、心を本尊と同じ悟りの境地に置くというこ
これら三つのをセットでやるのが密教の修行として重要であると空海は説いているのです。

どうでしょうか。同じ言葉でも、まったくもって意味することが違うので頭も混乱されると思いますが、空海が説くこの三蜜行は、修行僧でなくてもできると思いませんか?

 

2020年もコロナ禍で慌てふためきながらも気づけば一年の半分に。来る6月21日の夏至を過ぎると今年も折り返し、2020年も後半戦へと進みます。

思わず後半戦と”戦”の文字を表記してしまいましたが、このコロナの騒ぎもあり今までとは違う生き方、在り方へ強いられているようにも感じます。ただ、決してそれは悪い方向に進むわけではなく、結果的に私たち人類にとってもいい方向に進んでいくのではないでしょうか。

空海が説いてくれる「三蜜行」というのは、普段の暮らしの中でも指で印を結び心(意識)を無心にして真言を唱えるだけでよく、こういうときだからこそ、大きな力を与えてくれるのでは。

今宵は、水無月の満月。 ぜひ、香を焚きながら、空海の教えを実践してみてはいかがでしょうか。

 

数多くの真言がありますが、Juttoku.がおすすめする真言はこちらになります。

  • 大日如来:ノウマク サンマンダ ボダナン アビラウンケン
    ⇒密教では大日如来は宇宙の真理そのもの、命の根源であり、いっさいの諸仏は大日如来の化身であるとされ、この真言は人々のあらゆる苦悩をとり除き、全ての願いを聞き届けてくれるというご利益があります
  • 釈迦如来:ノウマク サンマンダ ボダナン バク
    ⇒釈迦如来の真言を唱えることで、心の迷いや煩悩、不安が除かれ、心安らかに過ごすことができるとされます。
  • 不空成就如来:オン アボギャ シッディ アク
    なすべきことを確実になしとげる智慧を授ける仏とされる不空成就如来の真言を唱えることで、どうしてもなしとげたい夢や完成させたいことがあるとい、ものごをなしとげる力を与えてくれます。

真言は数多く唱えることで心願成就がかなうといわれ、虚空菩薩の真言を百日で百万回唱えると完全な記憶力が得られるという『虚空菩薩求聞持法』は空海も修し、まさにその修行をおえ悟りを開いたといっても過言ではありません

 

これから始まる2020年後半も、さらに幸溢れる実り豊かな年月になりますように*すてきな満月の夜をお楽しみください*

 

 

 

 

 

★今宵の満月におすすめの香:宙羅

 

(何にも囚われることなく、静謐な自己の世界へと誘ってくれる「空羅」。ユーカリのスッキリとした香りが呼吸を促してくれるので、心(意識)を無心にして真言を唱えるときに力になってくれるでしょう)

 

 

 

(2020年6月6日満月の夜に配信した月便りの内容を一部変更して転載しています)

 

 


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