旧暦端午の節句は、梅雨時の禊ぎ払いを。
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「節は、五月にしくはなし。
菖蒲、蓬などの薫り合ひたるも、いみじうおかし。」
(引用:『枕草子』清少納言)
旧暦時代の端午の節句は、梅雨時の禊ぎ祓いの意味を持つ行事であり、
この日、邪気を祓うためのよもぎや菖蒲が宮中や名もない民の住家まで、
ありとあらゆる屋根に葺かれてよい薫りを漂わせている様を、清少納言
は「いみじうおかし(=とてもすてき!)」と記しておりました。
新暦の今でも、端午の節句に菖蒲湯に入ると良いと言い伝えられ、街の
お花屋さんでも菖蒲がよく売られておりますが、実は、菖蒲の葉が大き
く瑞々しく育つのはやはり梅雨時の今ごろだそうです。
菖蒲やよもぎには優れた殺菌作用があり、じめじめした梅雨時の空気を
爽やかにぬぐい去ってくれるのです。
『枕草子』には、このような情景も書き記されています。
この日、薫り高い楝(おうち)の花 を紫色の紙で巻いたものや、菖蒲の
葉を青い紙で結んだりしてものを持ち歩いたり、母屋の柱にあでやかな
薬玉を飾ったりなど、平安時代の貴族たちはさまざまな方法で薫り草を
楽しんだようです。
特に、平安時代の薬玉は、橘や菖蒲などの香り高い草花を編み込んだ
飾り玉を色とりどりの糸で飾り、時代が下るとともに、麝香や沈香など
の香料を玉にして豪華に飾るようになったようです。
想像するだけで、なんだかとても胸が踊ります。沈香をいれた薬玉を、
作って部屋の窓に吊るしたいものです。でも、まずは簡単にできる菖蒲
とよもぎをいれた湯にゆっくりつかって、梅雨時の禊ぎ祓いをしてはい
かがでしょうか?
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