実りの秋

Juttoku.便り
心に深い安らぎを与えてくれる「美しいカオリ」を、自然と調和する「美しいくらし」に、をコンセプトにもつJuttoku.。
四季の美しい日本にいながら、自然と調和する暮らしのなかで、日々様々な出逢いや学びに恵まれます。それは、自然の時間の中に自分を置くことで感じることや、自然をつうじて学ぶ日本の美意識、そして旅先などで見聞することなど。本コラムでは、Juttoku.の折々の暮らしをお届けします。

稲穂

待ちに待った実りの収穫の時期

先週の訪問から一週間が経ち、また奈良県天川村へ。

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今回は、今年の5月に早乙女として御田祭に参加させていただき田植えした稲穂を収穫しに、抜穂祭に参加してきました。秋晴れの清々しい天気に恵まれ、絶好の収穫日でした。

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 日本では古くよりお米が主食であり、また江戸時代まではお米を年貢として納めていたほど、日本の暮らしの中では米づくりは不可欠でした。

現代は農耕技術も発展し安定した米作りが可能となってきておりますが、昔は稲作も重労働であり、人知では計り知れないほど自然の影響を大いに受ける米づくりはまさに神へすがる思いであったでしょう。

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田植えして収穫するというのはこれで3回目になりますが、今年は夏に大雨に見舞われ、村の一部も土砂崩れに見舞われ一部の村の方が避難を余儀なくされるほどでした。また、8月後半からは曇り空が続いたり日照時間も少なく、天気予報をみては「稲は大丈夫かなぁ」と思い煩うことも。

しかし、こうして稲穂も色づき収穫をむかえることができるのはなんともいえない喜ばしさを感じます。 今でさえ無類の喜びを感じるのですから、昔の人々は湧き上がる喜びに包まれていたでしょうし、何よりも、神々への感謝の気持ちもひとしおだったことと思います。

 

収穫を祝い、神に供える

天川大弁才天社での抜穂祭は、まずは本殿で収穫を迎えることができることへの感謝の祈りと神々へお伝えしたのち、神田に移り、再度神田(しんでん)の前で祈りと感謝の祝詞をあげます。

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そして、作長(さくちょう)さんにより、神殿に奉納する稲穂を刈り取ります。

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 きれいに実りがついた稲穂を刈り取ったのち、

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神官が受け取り、

DSC_1071神殿へと奉納されます。

 稲穂4そして、いよいよ刈り取ります。 もちろん、機械ではなく鎌(かま)での作業。

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腰をかがめて鎌で刈り取る作業は、見た目以上に重労働です。今年で3回目といえども、まだまだ初心者な私の刈り取るスピードは、ベテランの村のおばちゃん達には勝ることは到底できず。

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刈り取りが終わると、今度は稲穂を束にしていきます。

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去年刈り取った際の藁をひもにみたて、手いっぱいに掴んだ稲穂を束に。

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この作業は単純なようで、ちょっと難しいです。不器用な私には、なかなかうまく束ねることができず。

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こうして、藁でギュっと束ねられた稲穂は、次の作業へ。

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刈り取られた後の田んぼに建てられた竿に、先ほどの稲穂を掛けていきます。

DSC_1077これは、「掛け干し」といわれ、地方によっては稲木、稲架とも呼ばれるそうです。

DSC_1093刈り取った稲穂を掛けて天日干しさせ、自然乾燥していきます。

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穂を下にしてゆっくり乾燥。

DSC_1102逆さにして干す事により、稲の栄養や甘みが穂先の米粒に集中していき、旨みが増していきます。

 

 

米、食べ物をいただくことへの感謝の気持ち

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 こうして数時間の刈り取り作業が終わると、黄金に輝いていた神田がどことなく心寂しくも感じます。

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 しかし、傍らにはこれだけの多くの稲穂を収穫することができました。

 DSC_1091収穫作業後の直会の食事は、腹ペコの胃袋を満たしてくれるほどおいしく。ついつい、何杯もおかわりをしてしまいます。

そして、何よりも普段当たり前のように食べているお米ひとつにしても、自分たちの手で育てていくとより”ありがたさ”を感じ、『いただきます』という言葉に秘められた感謝の念抜きに口に運ぶことはできません。

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古の時代より、日本人の食生活を支えてきたお米。 時代が移り変わり技術が発達した現代でも、人知では計り知れないほどの自然の影響を受け、自然の恵み、そしてそれを丹念に育てあげてくれる農家の方がいて私たちは食べることができます。

実りの秋をむかえ、「飽食」の時代といわれる今、あらためて「感謝」の気持ちに立ち返り、心こめて「いただきます」といい食していきたいものですね。

 

 

 

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