香を「聞く」と落語に通じる世界

いつもご覧いただきありがとうございます。

 

さて、先日、落語を観賞してきました!

こういうことを言うと・・・怒られてしまうかもしれませんが、ついこの間まで落語の面白さが今一つわからず、ずっと話を聞いているのは退屈だなぁと思っていたのですが、昨年末にご縁あって“三遊亭鳳楽”師匠の落語を観賞させてもらってから、すっかり落語の魅力に吸い込まれてしまいました。それ以来、機会があれば寄席などに足を運ばせていただいております。

先日も、楽しみにしていた鳳楽師匠の独演会に仕事後行ってきました。

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江戸の街へタイムスリップ

まだまだずぶの素人なので落語の魅力など語れる資格はないのですが、私が率直に落語の世界に魅了されているのは、一つ目はとにかく楽しい♪ということ、そして、二つ目はまるで鳳楽師匠が壇上で話しているのが映像となってその世界に入り込め、まるで江戸の街へタイムスリップしてしまうかのような疑似体感♪です。

一つ目のとにかく楽しい♪は、その文字ずらとおりで・・・とにかく終始笑いっぱなしです。 クスッと笑ってしまったり、ゲラゲラ笑ってしまったり・・・いつも1時間~2時間の寄席の後は口角が自然とキュッと上がり自然なリフトアップがされています^^。

二つ目は、毎回自分でも不思議に感じるのですが、高座には座布団と師匠しかいないのに、私の目に映るのは江戸の街なみ、いろいろな人物、時には一緒に自分もお蕎麦を食べたり、呑んでいるかのような錯覚にも陥ってしまうかのような・・・・頭の中では完全に3D映画の中に、いや・・・タイムスリップしているかのようにリアルに感じてしまうところです。

 江戸時代は昔の文献などでも、文化が栄え、また人情あふれる平和な時代だったと書かれていることもあり、いつも興味があり憧れの時代の一つでもあります。

 

 

今回の演目

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お弟子さん達のお話のあと、いよいよ師匠の高座。今回は、「お見立て」と「唐茄子屋」。

お見立て(おみたて)
江戸時代の笑話本に原話があるとされる古い噺。「お見立て」は、見て、えらび定めるの意で、廓の張り見世で格子内に並んだ花魁を選ぶときに若い衆が使用していた言葉。大正年間に写真の普及とともに張り見世は少なくなっていった。【引用元:第264回 三遊亭鳳楽独演会 パンフレットより】

唐茄子屋(とうなすや)
夏の噺の代表作である。古今亭志ん生、鳳楽の大師匠三遊亭圓生など多くの名人上手が演じ、現在も夏の寄席では必ずといってよいほど演じられている。 演者により演出が異なり落語の醍醐味を楽しめる人情噺である。「唐茄子屋政談」として演題をだすこともある。円熟味をました鳳楽の芸を大師匠圓生の香りとともに楽しめる一席となっている。
【引用元:第264回 三遊亭鳳楽独演会 パンフレットより】

お見立ては“笑い噺”である一方、唐茄子屋は笑いもあるが人情噺。 唐茄子とは、かぼちゃのことで江戸では唐茄子と呼んでいたそうだが、この唐茄子屋というタイトルから噺、オチまでは想像をはるかにこえた展開であり、スカッと笑えて最後はホロッとするいい噺でした。

 

「お見立て」に出てくる線香

「お見立て」の噺は、とても面白いのでぜひ一度鑑賞していただきたいのですが、このお話の中の最後クライマックスでお線香がでてきます。といっても、香りを語るというよりも煙・・・がオチへつなげていく一つの重要なシーンです。


江戸時代の遊廓、吉原にて。
この日は、遠くからはるばる来た常連のお客さんが花魁に会いにきました。しかし、花魁はこの人に会うのがどうしても嫌なので若い衆に、お客さんに体調を崩して今日は会えないと言ってくれと頼みますが、そうであればせめてお見舞いだけさせてくれと懇願するお客さん。でも、どうしても会いたくない花魁は、「恋い焦がれて死んだと言いなよ」と。 若い衆からそう聞いたお客さんは悲しみに浸り・・・それでは、せめてお墓参りだけでもさせてほしいと。

しかし、花魁の会いたくないおもいからでたこの嘘話なので、お墓なぞあるわけもなく。花魁は、適当に新しそうな墓石を見つけて墓石を覆い隠すようにたくさん花を飾り、そして、墓石の戒名が見えないようにたくさん線香を焚いて、ごまかしてくれと。 ただ、若い衆がごまかそうとしてもすぐにその墓石が違うとバレてしまい、これも違うあれも違う、となり、最後は「いったいぜんたい花魁の墓は何処だ」。「へい、沢山ございますので、どうぞお見立てください」。m(__)m


オチを言って最後にお辞儀されるので、思わず絵文字でお辞儀(m(__)m)をタイプしてしまいましたが、ざっとこのような流れのお話です。 しかし、こうして見ると・・・・・笑いの要所を全然伝えられていないので、せっかく楽しい落語の噺を変に要約するものではないと少し省みてます・・・。

墓石の文字を覆い隠すほどの煙がまっていたのですから、どれぐらいお線香を手向けたのでしょうか・・・・。とにはかくにも、ぜひ機会があればご高覧くださいませ。

 

粋と呼ばれる貴重な文化が育った江戸の吉原

「お見立て」の噺の舞台である江戸の吉原。ここは、江戸幕府に公認された遊廓で始めは現在の人形町近くにあったそうですが、その後江戸で大きな火事があり現在の日本堤に移転したそうです。

 

遊廓と聞くと夜の街のようにも思えてしまっていたのですが、師匠によると、江戸の粋と呼ばれる貴重な文化が育った場所だったそうです。 多くの知識人や文化人が集まり、高級な社交場としての地位が高められ、文学や、音楽、美術などの芸術の誕生、江戸の庶民の文化生活にも大きな影響を与えてきた文化の面でも大切な場所であったそうです。

 

また、話によると花魁は教養も高かったとか。元は地方から売り売られた少女だったのが、のぼりあがっていく過程の中で学び得ていったのでしょうか。また、噺の中でも師匠が花魁を演じるときは、「~ありんす」と独特の花魁言葉を使ってましたが、この花魁言葉も各地方出身の女性が流入していたので、当初は各地のお国言葉が使われていたそうですが、いろいろな言葉が混在しては色気がないことで、やがて優艶な吉原の花魁言葉に統一していったそうです。

 

香を「聞く」と落語に通じる世界

このように、落語の噺の中に吸い込まれるかのように江戸時代にタイムスリップしているかのように感じられるのも落語の楽しさの醍醐味の一つ。

それは、きっと噺の世界が聴いている人が情景を豊かに”想像”し、自由に楽しめるからだと思います。同じ噺を聴いていても、恐らく人それぞれに頭の中に浮かぶ映像や感じ方は様々だと思います。目には見えないけれども、そこには豊かに情景を想像してみえる世界がひろがっています。

 

これは、「香道」や香を「聞く」にも共通する部分があります。 一片の香木の香りを“聞き”広がる世界。それは、たしかに人それぞれ感じ方は違えども、目に見えないものから想像してみえる幽玄な世界があります。

ぜひ、この自由に想像しながら噺の世界を楽しめる落語ですが、ついつい敷居を高く感じてしまったり噺だけと退屈に感じてしまうこと無かれ!! 香を焚きリラックスしてストレス発散するのもいいですが、こうして楽しい噺を聞いてスカッと笑えるのも気持ちのいいものです

ぜひ仕事帰りにもタイミングがあえば行ってみてください!

本日も最後までお読みいただきありがとうございました♪

 

 

 

(参考までに)

最後に、余談ではありますが、私はすっかり鳳楽師匠のファンになり、来月も何席かチケットを既に購入してしまい観覧してくる予定でおります。

鳳楽師匠の独演会は、この先下記のスケジュールで行われるそうです。
・平成27年8月21日(金)/平成27年9月25日(金)/平成27年10月23日(金)
上記日程のものは、会場は日暮里サニーホールで行われ、開演は午後6時半からになります。当日、会場でもチケットは販売されていますのでぜひお時間できた方は一度足を運んでみられてはいかがでしょうか?

また、東京は気軽に楽しめる寄席もあります!

浅草演芸ホール
東京都台東区浅草1-43-12
Tel:03-3841-6545

お江戸上野広小路亭
東京都台東区上野1-20-10 上野永谷ビル
Tel:03-3833-1789

お江戸日本橋亭
東京都中央区日本橋本町3-1-6
日本橋永谷ビル1F
Tel:o3-3245-1278

国立演芸場
東京都千代田区隼町4-1
Tel:03-3265-7411

新宿末広亭
東京都新宿区新宿3-6-12
tel:03-3351-2974

 

落語を聞き、思いっきり笑い、日頃の嫌なことも吹き飛ばしてしまいましょう♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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