花鳥風月~美しい自然の移り変わり~
豊かな地球の恵みを敏感に感じ、絶妙な香りの配合を表現してきた先人たちの繊細な感性により培われてきた日本の香文化。それは、自然との共生を大切にし、様々なものを調和させ、新しいものを生み出す日本人の美意識そのもの。そんな日本人の美意識をはぐくむ「日本の美しい自然の移り変わり」を、本コラムでお届けします。
花吹雪から葉桜となり、晩春の愁い感じる季節になりましたが、
桜花散りぬる風のなごりには 水なき空に波ぞ立ちける (紀貫之『古今集』)
桜の花びらはすでに落ちてしまっているが、
しかし、今年の桜がみせてくれた風景は様々な感情も織り込まれ、
世界中が先の見えない不安に包まれているなか、
そのとき、ふとこの言葉を思い出しました。
「中今(なかいま)」
これは古神道の世界に伝わる言葉で「いまこの瞬間こそ真実であり
自然の木々はきっと、倒される勢いの嵐がきようが、
今宵は、卯月の満月夜。Juttoku.の香を焚きながら、無心
こうして生をうけ生きている以上、
『中今(なかいま)』という言葉が教えてくれているように、
すてきな満月の夜をお楽しみください*
(2020年4月8日満月の夜に配信した月便りの内容を一部変更して転載しています)
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