塗香とともに神社仏閣を巡る~戸隠神社~

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心に深い安らぎを与えてくれる「美しいカオリ」を、自然と調和する「美しいくらし」に、をコンセプトにもつJuttoku.。
四季の美しい日本にいながら、自然と調和する暮らしのなかで、日々様々な出逢いや学びに恵まれます。それは、自然の時間の中に自分を置くことで感じることや、自然をつうじて学ぶ日本の美意識、そして旅先などで見聞することなど。本コラムでは、Juttoku.の折々の暮らしをお届けします。

 

塗香とともに神社仏閣を巡る

Juttoku.の塗香を携帯して日本各地の神社仏閣にお詣り。今回は、長野県にある戸隠神社に行ってきました。

 

長野県 戸隠

長野県長野市にある戸隠。今回は1月のはじめに行ってきました。今年は暖冬で雪が少ないと聞いていましたが、前日に雪がけっこう降ったそうで、戸隠一帯は白銀の世界でした。

長野駅から車で山道を登りながら約40分ぐらいで到着できます。

 

 

戸隠神社は『古事記』天の岩戸伝説に由縁

『古事記』のなかでも一番有名な話のひとつに「天岩戸(あまのいわと)開き」があります。

ここ戸隠神社は、あの“天の岩戸”が飛来し現在の形になったといわれる戸隠山を中心に開山された神社で、「天岩戸開きの神事」に功績のあった神々が御祭神として祀られており、創建以来二千年余りに及ぶ歴史を刻む神社です。

戸隠神社は1社のみをさしておらず、奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の五社からなります。

せっかく戸隠まで来られたならば、ぜひ5社すべてを回られることをお勧めします。お話によると回るおすすめのルートもあるみたいですが、今回は下から順番に上がっていきました。

 

宝光社

戸隠神社、山のはじまりにたたずまわれているのが「宝光社」。

 

鳥居の中をくぐると、境内は一面雪におおわれています。

 

早朝に行ったので、雪がまだ覆いかぶさっており、約270段あまりもある階段も慎重に一段ずつ登っていきました。

 

階段を登りきると荘厳なお社が鎮座されています。

御祭神は『天表春命(あめのうわはるのみこと)』。あまり聞きなれない、初めて拝聴する神様のお名前であるが、古事記のなかでは饒速日命(にぎはやひのみこと)が天磐船に乗って天降り遊ばされた時に率いた三十二神の一神とのこと。

もう少し詳しく知りたいと思う神様であられましたが、ここで一心に祈りを捧げると光に包まれる不思議な感覚が。

 

▲朝陽が雪を照らし美しい情景。

 

 

中社

宝光社から上にあがっていくと、次にご鎮座されているのは「火之御子社」。しかし、今回は雪が深く立ち寄りが難しくそのまま中社に向かいました。

 

▲雪が積もり危険とのことなのでしょう。中社の鳥居からの階段は閉鎖になっていました。

 

▲境内はひざ下ぐらいまで雪が積もったままで、お詣りに上がるのにも一歩一歩新雪に足を踏み込みながら。

 

▲この日は氷点下5度ぐらい。体感ではもっと寒く感じ、寒さのあまり手水舎での清めも少しばかり気合がはいってしまいます。

 

標高約1200mに鎮座する「中社」。

先ほどの宝光社よりだいぶまた上にあがってきたこともあり、空気がより冷たくしじまな空間です。

 


御祭神:天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)


 

 

ここであらため、古事記の「天の岩戸」伝説について。

弟の素戔鳴尊(スサノオノミコト)の乱暴に怒り天の岩屋へお入りになってしまった天照大神世の中は真っ暗闇になり、いろいろの悪い神々が出てきて、恐ろしいことや、悲しいことが次々におこりました。

大勢の神様たちは、岩屋の前に集まって、天照大神に岩屋から御出でになっていただくにはどうしたらいいだろうかと頭を悩ませていました。

すると、この中社の御祭神である天八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)が「良いことを思いついた。私たちが岩戸の前で踊ったり歌ったりして楽しそうにしていると、きっと天照大神様は、『あの者たちは何をしているのだろう』とおのぞきになるにちがいありません・・・」と知恵をしぼって考えをだされた、といわれています。

 

このような云われがある『天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)』を祀らている中社。

 

天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)のお働きにあやかるように、「学業成就・商売繁盛・開運・厄除・家内安全」に御神徳があるとのこと。感謝の気持ちを一心に祈りをささげると、頭もすっきりするそんな不思議な体感がありました。

 

 

 

 

九頭龍神社、奥社

そして、車を走らせいよいよ標高1350mにある奥社へ。

 

車は入口前にこのように駐車できますし、バスもここまで連れてきてくれます。

 

しかし、奥社への道のりは長く、奥社参道入口から奥社までは、約2kmの道のり。

 

鳥居をくぐると、そこからは真っすぐの一本道。ご覧のとおり、雪がより深く降り積もったまま。雪のせいで反響もしないのか、ふわふわの新雪を踏み込む自分の足音だけ。森閑と静まり返る、雄大な自然の中に身をおける幻想的な空間。

 

 

鳥居からの序盤の参道は落葉樹の木々で、背丈もどこか見慣れている高さの木々だったのに、足を進めているとだんだんと背丈が高い杉の参道へと。

 

そして、20分ぐらい歩いたころでしょうか。ようやく中間時点の「隋神門」が見えてきました。

 

萱葺きの赤い随神門

神域に邪悪なものが入り来るのを防ぐ御門の神をまつる門。

 

 

戸隠神社のこの随神門は朱塗りで、屋根は茅葺きが。

 

 

この門はまるで現世界と天界の境目なんだとも思ってしまうほど、未知なる空間への旅たちの入口にたっているような感じがしてなりません。

 

 

 

樹齢約400年の杉並木

随神門をくぐると、そこには目を見張るほど高くそびえたつ大きな杉並木が。

 

 

随神門の前の参道の杉よりもさらに背が高く、威勢を感じるのは気のせいなのか、本当なのかはつゆ知らず。

 

 

奥社に向かって右側に約150本、左側に約130本のクマスギが江戸時代初期に植えられ、樹齢約400年。天然記念物にも指定されておりますが、この壮大なスケールに脳がゆさぶられるといっても過言ではないほど。

 

 

髄神門から奥宮までも約1キロ。歩けど歩けども、続くこの壮大な杉並木に、だんだんと自分が、いや人間なんてこの雄大な自然からするとどれだけ小さな存在なのかと思いしらされているかのようにも感じてしまいます。

 

勝手な感覚ではありますが、奥宮の神様にお会いするうえに、茶室の躙り口の出入り口を通っているかのようにも。

自然の中の一部であり共存しているという東洋の、いや日本ならではの精神性にたちかえらせてくれる、そんな道のりでした。

 

奥宮へあと少し

10分ぐらい歩いたのでしょうか。だんだんと斜面が急こう配に。杉並木から一転、見慣れた高さの落葉樹たちが姿を現してきます。

上にあがれば上がるほど、気温はさらに低くなり、雪もより深く。この斜面の道も、雪かきもされていないので、雪でできた滑り台みたいです。

 

 

一歩一歩、足を滑らせないように登っていくと、左手に奥社の摂社で飯綱山の神様である飯綱大明神のお社が。

 

▲お詣りしようと思って、深い雪に足をいれながら上にあがっていったのですが、あまりの雪の量で途中で泣く泣く断念。気持ちだけ手をあわせさせていただきました。

 

 

寒くて震えていた体も、深い雪が積もった坂道を上っているとだんだんと体もほてり暑さも感じてくるころ。ようやく視界に奥宮がみえてきました。

 

あと少しというところで、おそらく雪がなければ階段で上がれると思うのですが、このときは急斜面な雪の坂道。

 

最後、力を振り絞って、一歩一歩斜面を上がっていきました。最後の力のいれようは、もはや煩悩をすべてはらいきるかのような、そんな気迫さえ自分の中から湧き上がりました。

 

▲外国の方の参拝客も多かった印象が。特に西洋からの方が。ガイドの方と一緒に小さいスキー板をつけて登山している人たちも。たしかに、この時期はそれのほうが登りやすいようにも思いました。

 

 

奥宮へ

 

そして、最後の急斜面を登りきり、ようやく奥宮が姿をあらわしてくれました。

 

▲奥宮を背に広がる雄大な景色。

 

奥社参道入口から歩き始めて、1時間ぐらいでしょうか。無事に登頂でき、ゆったりとした歓喜が全身にわきあがり、しばし仁王立ちをしながら、大きな達成感に満たされていました。

 

奥宮。

 


御祭神:天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)


 

この神様は、先ほどの中社の『天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)』の神様の天の岩戸伝説の続きになります。

 

 

 


岩屋の外が笑い声や踊りの音など賑わいにあふれているのかと気になりだした天照大神は、そっと岩戸をあけて外をご覧になりました。
その時岩戸のかげで待ち構えていた天手力雄命(アメノタジカラオノミコト)が岩戸に手をかけ一気に渾身の力を込めて、岩戸をあけ、天照大神を岩屋からお出ししました。


 

そんな由縁のある天手力雄命(アメノタジカラオノミコト)が御祭神である奥社にて手をあわせ祈りをささげました。

 

 

登ってくるまでに、煩悩やら穢れやら様々なものが掃きだされたからなのでしょうか。

勇気をもらう、そんな言葉が正しいのかはわかりませんが、大きな力がみなぎってくる、稀有な感覚に全身包まれます。

 

『来てよかった~』と心底おもう瞬間でもありました。

 

 

▲奥社の少し下には九頭龍神社が。『龍を感じる』そんなことをつい口にしてしまうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神様に後押ししてもらう

年初に来たからなのでしょうか、戸隠神社にこうしてお詣りさせていただいたことで、“そのまま、志に向けて突き進みなさい”と大きく後押ししてくれる力強さを蓄えられたようなお詣りでした。

その力強さは、天の岩戸を飛ばしたという天手力雄命(アメノタジカラオノミコト)の力をご神徳としてえられたのか、はたまた、ここまで登りきれたという達成感からでる自信なのか。

 

お詣りを終えて奥社の鳥居をくぐりでるときには、どこか意気揚々とした自分がいました。

 

静寂に静まりかえったこの参道は、行きと違い、この雄大な自然と一体になれたそんな喜びの歓喜の声が内から湧き上がってきます。

 

帰路の途中、髄神門の前にたつ獅子に『また来るのじゃ』と言われているかのように、また誓いをあらたにお詣りにくると約束し、帰路につきました。

 

 

人生の起点ごとにお詣りにあがりたい、そんな聖地でした。

 

 


今回行った場所:戸隠神社

住所:〒381-4101 長野県長野市 戸隠3506(住所は中社になります)
参拝自由
URL:https://www.togakushi-jinja.jp/

≪冬の参拝について≫
毎年雪深い季節になると、奥社は閉ざされます。今回は奇遇にも1月6日お詣りに上がりましたが、ちょうど次の日から奥社は閉ざされるとのこと。雪で閉ざされた期間は、人が立ち入ることができないそうです。今年は暖冬の影響で1月のこの時期まで入れたとのこと。冬の時期に行かれる際は、必ず神社のHPで確認してからお詣りにあがられてください。


 

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