Juttoku.便り
心に深い安らぎを与えてくれる「美しいカオリ」を、自然と調和する「美しいくらし」に、をコンセプトにもつJuttoku.。四季の美しい日本にいながら、自然と調和する暮らしのなかで、日々様々な出逢いや学びに恵まれます。それは、自然の時間の中に自分を置くことで感じることや、自然をつうじて学ぶ日本の美意識、そして旅先などで見聞することなど。本コラムでは、Juttoku.の折々の暮らしをお届けします。
紫陽花を愛でに
ここ2,3日、梅雨の中休みに入り、久しぶりに青空が広がり、気持ちのいい日を過ごされていますでしょうか。
6月は梅雨の季節ということもあり、ジメジメしでどんより空が続くと気が滅入ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも、この季節だからこそ楽しめるのが「紫陽花」鑑賞。この季節だからこそ美しく輝く紫陽花を鑑賞してきました。
花の寺 明月院
言わずとも知れた紫陽花の名所である「明月院」。境内に入ると、青々と光輝く紫陽花が一面に広がっています。
姫あじさい
明月院の紫陽花の95%は、「姫あじさい」だそうです。
花が優美ということから名付けられたと言われる「姫あじさい」。
“淡い青から日ごとに青さを増し、最後は悠久の空の青、母なる海の青に染まり、大地に還ります”
これは、境内の看板に書かれていた文章の一部ですが、この文章に深く感動いたしました。
「大地に還る」。
臨済宗のお寺ということもあり、自然を俯瞰してとらえてみる教えに学びをえます。
それは、こんなメッセージからも感じ取れます。
自然に還る、自然回帰というのは、なんとも日本の精神であありますね。
鎌倉の西方極楽浄土「長谷寺」へ
続いて、「鎌倉の西方極楽浄土」ともいわれる「長谷寺」へ。
一年を通じて季節の花々を楽しむことができるといわれていますが、紫陽花の名所の一つでもあります。
境内に入ると、色鮮やかな花がお出迎え。 蓮もすでにきれいに咲いていました。
階段をのぼる途中には、愛らしいお地蔵さまが。
阿弥陀如来様、十一面観音菩薩様に祈りと感謝の気持ちをこめて手を合わせ・・・・
祈りの心が通じたかのように、長谷寺から覗く展望は晴れやかできれいでした。
華を咲かせたいという祈りが通じた場所
そして、いよいよ境内の「観音山」へ。
この日は、平日ということもあってか30分待ちで入れましたが、看板には「60分」「90分」待ちのカードもあったので、週末となるとすごい人数がくるのでしょう。
山一面に広がる色鮮やかなアジサイ。
「観音山霊験記」によると、
“昔、相州鎌倉長谷の村に観音山在り
極楽西方浄土と伝う地に
華を咲かせたいと願う老師は
ある夜、霊夢を見た一人の童女が観音山に向いて
この山に花を咲かせ給えと祈祷すると空に七色の雲が湧き出で
やがて山神が現れた地の神は長い鉾にて地を浄め
雨の神は恵みの雨を降らせ
風の神は袋より花を吹き出させたたちまち観音山は紫陽花の花が咲き誇り
極楽浄土のごとき七色の華で埋め尽くされた目覚めた老師が山を眺めると
確かに絢爛な華の山になっていた老師はたいそう喜び 山中に千手観音を祀りて祝福した”
とあります。
(こちらはは、山を上がる手前にある看板に紹介されていました)
神々が施してくれたように、ここ観音山は紫陽花のきれいな花々で埋め尽くされ、ここにいるだけでも気持ちが高揚します。
千手観音に、お礼と感謝の気持ちで祈りを捧げ
しばし、紫陽花にかこまれながら「極楽浄土」の心地を楽しみました。
ゆっくり昇り降りしても15分あるかないかの距離ではありますが、色鮮やかな紫陽花に囲まれながら、心が華やぎ、そして和みます。
心の浄化と紫陽花の色
6月30日は大祓の日でもありますが、こうして青々と輝く紫陽花を見つめていると、自然と心の汚れも消えていくような感覚にもなります。
「西方の極楽浄土」として、神々がここに紫陽花の花にしたのも、「心の平安」を考えると自然の摂理にあうことであり、ただただ自然の凄みに感服するばかりであります。
目で楽しみ、心で鑑賞し、心を慰めてくれる
“人は誰しも
はかない花の想い出の中に生きています。大切な人との別れ、いとおしい物との別れ
そんな時 ふと目に止まった花が
どんなにか
心を慰めてくれたことでしょうか”
これは、明月院の境内の「花想い地蔵」に書かれていたメッセージです。
6月も残りわずか。そして、2016年の折り返し時点まであとわずか。
紫陽花を眺めながら、心思いにふけてみてはいかがでしょうか。
2016年後半も幸先がよく、幸多き日々が連なりますように・・・。
水無月の旅~紫陽花を愛でに~
≪明月院≫
住所:鎌倉市山ノ内189
アクアス:JR「北鎌倉駅」徒歩10分
≪長谷寺≫
住所:神奈川県鎌倉市長谷 3-11-2
アクセス:江ノ電「長谷駅」徒歩5分