鮮やかな紅葉の季節に心よせて

花鳥風月~美しい自然の移り変わり~ 豊かな地球の恵みを敏感に感じ、絶妙な香りの配合を表現してきた先人たちの繊細な感性により培われてきた日本の香文化。それは、自然との共生を大切にし、様々なものを調和させ、新しいものを生み出す日本人の美意識そのもの。そんな日本人の美意識をはぐくむ「日本の美しい自然の移り変わり」を、本コラムでお届けします。

紅葉_みたらい渓谷

鮮やかな紅葉の季節に心よせて

秋も一段と深まり、鮮やかな紅葉を楽しむ季節になりました。 11月初旬、奈良県天川村にある「みたらい渓谷」に、紅葉を観に行ってきました。

自然の一大傑作みたらい渓谷1

奈良県天川村は紀伊半島中部に位置しており、標高1,000〜2,000mの大峰山系の山々に囲まれ、441m~820mの標高が谷間の集落部にあります。 東京はまだほんのり色づいているかついていないかぐらいでしたが、みたらい渓谷は標高が高いこともありここはもう色鮮やかに色づいていてとてもきれいでした。

みたらい渓谷2

このみたらい渓谷は、大峯山より流れ出る山上川が川迫川に合流する場所にでき、特に狭まった山の裾の大岩壁を大小の滝が流れ落ちる“自然の一大傑作”が堪能できます。

 

祈願のための清めの場、美しき聖き清流

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「みたらい渓谷」では、きれいに輝く透き通った川が静かに山々から流れおちてきます。

紀伊半島の屋根といわれる霊山でもある大峯山の山々をはじまりとする源流域で、古くより、天川村一帯は、水を生む神聖な場所として、また神々様がおわされる神聖な場所として宗められてきました。

みたらい渓谷3

天川村は南北朝時代に南朝のときの朝廷が仮の御所をかまえるなど様々な縁がある場所でもありますが、特にここ「みたらい渓谷」は、時の南朝帝が戦勝祈願のためお手を清められた場所として、「みたらい(御手洗)」と名がついたといわれています。

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清流が静かに流れる大自然の中に身をおくと、心も自然と清らかになっていきます。

 

枯れる葉に美しさを感じる心

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そんな清らかな空間の中で、紅葉を愛でるのもとても艶やかな気持ちになります。

 

 

 

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西風が吹くと夏の暑さを祓うかのように秋が訪れ、初秋の涼気を運ぶさわやかな風の立つ季節を「西風送暑の候」といいますが、

 

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西風が運んできてくれる秋はなんとも雅な美しさとどこなくはかない哀愁の美しさをも感じます。

 

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季節の移り変わりのなかで、春から夏にかけては青々とした葉が生き生きとしていたのが、秋になり次の命の準備をするかのように葉が色づき枯れ落ちていく。

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肌寒さを感じる季節の中で、紅や黄に色づく紅葉をみると心が温かくなるようも感じますが、目にしているこの紅葉は枯れゆく葉を愛でているのだとおもうと・・・、自然の刹那の流れのなかで無心の心を体現してくれているかのようにも感じます。

 

枯れ落ちた葉、根を張る木

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夏までは生き生きと生い茂っていた木々も、秋になると葉を色づかせながら変容していく姿に、人間の生き様、人間の成長の過程が照らし合うかのようにも。

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春は芽がめぶき、そしてたくさんの日差しや雨の恵みを吸収しながら大きく成長していく。それは時として、表面にうつるものばかりを意識してしまいますが、真なる成長は心の中に。

みたらい渓谷4

たくさんの学びをえながら吸収したものは十分に自分のエネルギーとなり自信につながったりしますが、同時に鬱蒼とした思いや心の中にゴミや煩悩が溜まってしまいます。

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心に溜まった無駄なものを掃きはらうかのように、今まで外へ外へと向けていた意識を内に内にとむける。それは、まるで木々が表にでなくてもしっかりと支えている根を、より深く強く地に張っていくかのよう。

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すると、いつまでも物事に執着することはないということ、不必要に悩むこともない、自然の流れに身を任せばいいのだ、ということを感じ取るのではないでしょうか。

そして、枯れ落ちた葉は土に還りそして栄養となり次の春の命へと。そして、内に内にと意識をむけることで、今までみえていなかったことが見えてきたり。

 

秋を司る竜田姫

みたらい渓谷5

西風にのって訪れ、秋を司る竜田姫。

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秋のお姫様は、紅葉がみせてくれているように、夏までに外へ外へと成長していききれいに色づいた自分を、今度は内に意識を向けて振り返りながら地に張る成長へとしていくのですよ~、と説いてくれてるかのようにも、雄大な自然が満喫できるみたらい渓谷を散策しながら感じました。

 

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進みゆく先の未来は、まるでトンネルをくぐっていくかのようにも。

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長く深い暗闇のトンネルでも必ず出口はあり、そこにひろがる世界はそこに立たなければわからない未知なる世界!!

この秋は、自然がみせてくれてるように自分自身を振り返りながらも、移り変わりの激しい世の中でありながらも、自分にとって“今”という時間を大切に、そして自分にとって何が大事で、どう生きていきたいか・・・、そんな大地に根をはるかのように過ごしてみるのもいいかもしれませんね。
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この先のある未来へ・・・!

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来年のこの時期も、また美しく彩る木々のように・・・皆さまにとっても多幸溢れる未来がありますように。。。。。

 

皆さまも素敵なこの紅葉の季節をお楽しみください。

 


みたらい渓谷1 みたいらい渓谷

住所:奈良県吉野郡 天川村北角

 

 


 

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