神話の神々に会いに石上神宮へ

Juttoku.便り
心に深い安らぎを与えてくれる「美しいカオリ」を、自然と調和する「美しいくらし」に、をコンセプトにもつJuttoku.。
四季の美しい日本にいながら、自然と調和する暮らしのなかで、日々様々な出逢いや学びに恵まれます。それは、自然の時間の中に自分を置くことで感じることや、自然をつうじて学ぶ日本の美意識、そして旅先などで見聞することなど。本コラムでは、Juttoku.の折々の暮らしをお届けします。

石上神宮

神話の神々に出会いに

月一参りと打合せのため天川へ行く道中、石上神宮へお参りに行ってきました。

日本最古の神社のひとつ

石上神宮は、伊勢神宮と共に『日本書紀』に記された最古の神宮で、物部氏の総氏神とし、健康長寿・病気平癒・除災招福・百事成就の守護神として信仰されてきました。

御祭神は神武天皇がご東征したさい、国土平定に偉功をたてられた韴霊(ふつのみたま)の剣とその霊威を布都御霊大神(ふつのみたまのおおかみ)、鎮魂(たまふり)の主体である天璽十種瑞宝(あまつしるしとくさのみづのたから)とその霊威を布留御魂大神(ふるのみたまのおおかみ)、スサノオノミコトが八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治された十握剣(とつかのつるぎ)とその霊威を布都御魂大神(ふつしみたまのおおかみ)として称え、相称して石上大神と仰ぎ、第十代崇神天皇7年に創祀されました。

 

心が洗われる研ぎ澄まされた空気

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参道を進むと荘厳に佇む鳥居。

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一例して鳥居をくぐると、そこは心が洗われるほど研ぎ澄まされた空間がひろがります。

DSC_0830元気のいい鶏の声が響き渡り、境内には放し飼いされていました。

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鶏は、『古事記』『日本書紀』に登場しており、暁に時を告げる鳥として、神聖視され、神様のお使いともされていますが、天の岩戸のさい、鶏が鳴き声を上げて天照大神を岩戸からお出ましになる様に手助けをした功績として神の遣いになったなど。

DSC_0833境内の中にはいたるところに、鶏が人間に警戒することなくただずんでおり、この朗らかな空間がまた心を落ち着かせてくれます。

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清らかな水が流れる手水舎で清めると、より心も体も洗われるかのように清らかに。

DSC_0838悠久の長い時が刻む自然の幽玄を感じつつ、進む先には・・・・

石上神宮2鎌倉時代末期(1318)に建立されたとし、重要文化財に指定されている『楼門(ろうもん)』がお目見えします。

 

 

 石上大神を仰ぎ、祈る

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厳かなきもちで楼門をくぐると、そこには待ちわびてたかのようにそびえたつ拝殿が。

 石上神宮_拝殿国宝に指定され、現存する最古の拝殿を前に。

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石上大神を仰ぎ祈る心は、自ずと感謝の気持ちと平和な世界へと・・・。

DSC_0843その祈りの声をききとってくれたかのように、さっきまでは曇り空だったのに、澄み渡るほどの秋晴れの空に。 これだけでも、不思議と至福な気持ちになります。

 

 

みなぎる生命力

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それほどまで大きくはない境内だが、神々を仰ぎ祈るなかで、この土地・空間からは自然のたくましい生命力が体にみなぎってくるのを感じます。

 

石上神宮_剣

 それは、スサノオノミコトが八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治したさいに使った十握剣(とつかのつるぎ)とその霊威である布都御魂大神 (ふつしみたまのおおかみ)が祀られてるからゆえ、悪を断ち切る力強さからくるのでしょか。

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 はたまた、『石上 布留の神杉 神さびし』と柿本人麻呂が万葉集で詠んだとされる神杉が地に根を張り佇んでいるように、神の気たる神聖な神気が宿っている杉が佇んでいるからだろうか。

境内をでるころには、身も心も湧き上がる生命力がみなぎっていました。

 

 

 物部氏に想いを馳せる

DSC_0888飛鳥時代、聖徳太子が大陸から渡ってきた仏教を認め、国内に広げていきましたが、その背後には古来の神を祀る物部氏と片や仏教に賛同していた蘇我氏との深い対立がありました。

結果的には、周知のとおり仏教は国内に瞬く間にひろがり、日本の文化の礎にもなり、神仏習合という他国にはない土着の風習ができました。

日本のお香は大陸より仏教とともに祈りの香として渡り、香木・香料が放つ香りで仏前を清め自らの身体をも浄めて仏を拝むという教えにはじまりがあります。

これは日本がそもそも高温多湿の風土で、清浄を最高のものとする考えが根付いており、また、『古事記』『日本書紀』にもイザナギが死穢の国である黄泉の国から帰還した後に禊ぎ祓え清めたとあるように、「禊祓」の習慣が定着していたからこそ、仏教と共に伝来してきた「香」も、すんなりと受け入れていったといわれています。

神杉

古来の神を祀るのを重んじ、仏教の流布に危惧を感じていた物部氏にゆかりのある石上神宮。その境内で樹齢300年以上もする神杉を前に、悠久の時を経て、今はどう物部氏は思い、はたまた見守ってくれているのだろうか・・・、想いを馳せずにはいられませんでした。

 

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 心が研ぎ澄まされる清涼なひと時、そして、体の奥底から生命力がほとばしっていくのを感じながら、石上神宮をあとにし天川へと向かいました。

 

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境内の外には、神々しく咲く彼岸花。気持ちの良い秋の季節になりましたね。

 

 

 


DSC_0841石上神宮 

主神神:布都御魂大神 (ふつのみたまのおおかみ)
    布留御魂大神 (ふるのみたまのおおかみ)
    布都斯魂大神 (ふつしみたまのおおかみ)

場所:奈良県天理市布留町384


 

 

 

 

 

 

 

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